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先日放送された「最期のボイスレター」、以前75分版は見ましたが完全版は録画したままでいて、なぜかこの機会にようやく見ることになりました。特に何もこだわりはないのですが、昨年発売された「ラスト・コンサート」もまだ聴いていません。そういう状態で、改めて番組の感想をここで書いてみようという気になりました。
あのような苦しい状況で「この素晴らしき世界」を歌う声は、実に胸に迫るものがありました。「この世界は 素晴しいと」・・・病魔に侵された人が口にするのはあまりにも・・・
しかし当の本人は感情の振幅を表すことなく、集中して歌い上げていました。歌手である前に一人の人間であるはずなのに・・・そして恩師のために歌うとはいえ、プロの歌手という立場で歌う場面ではないのに、普段からの習性で冷静に歌えるというのでしょうか?
歌い終わった後、岩谷さんの詞に心酔している様子でしたが、やはりここは自分のことに意識が向かうよりも、岩谷さんをできる限り最高の歌で励まそうとする一心であったように思われます。人は苦境に陥ったときに真価が発揮されるのでしょうが、この曲では「人間は 素晴しいと」勇気づけられました。歌っている間は、もしかすると病気のことを忘れられる時間であったかもしれません。
対する岩谷さんも「私達は自分の不幸せは考えないで、人の幸せだけ考えて元気で生きていきましょうね」と返答していました。こういう言葉、普段でも言えませんが怪我で入院した状況でと考えると、岩谷さんの心の大きさは計り知れません。他のコメントとも合わせて考えると、岩谷さんは相当、確固たる信条をお持ちの方ではないでしょうか。またその言葉は私が思うに、自身の世界観を表した詞を信頼して託せる、美奈子さんが相手だから言えたのでしょう。
岩谷さんを励ますことがきっかけでボイスレターを交わしたけれども、聞いてもらう相手が一人であっても、病室という厳しい場でも、歌う機会があったことは幸せだったと敢えて言わせていただきます。
お互いが最大の理解者同士であることを改めて確認でき、歌で言葉でその絆を伝え合えたことは世の中に稀でしょうが、表現者冥利なこの交流は天からのささやかな贈り物だと思いたいです。(BOSSが病院紹介したとか、この際忘れましょう。)
最近の訃報に接して
「あなたと、熱帯」を作曲された忌野清志郎さん。声帯を摘出せずにできる限り温存して・・・美奈子さん同様、歌という‘翼’を持った方でしたが、翼の傷を恐れて地上に留まるよりも、羽を広げて舞い上がった姿は壮絶でもあり、ある意味では最善であったのかもしれません。誰よりも正直に生きた清志郎さん、本当に素敵でした。
「My Love of Destiny」を作曲された三木たかしさん。この曲は三木さんらしい、ドラマチックでアクセントの効いたメロディがいいですね。「JUNCTION」の曲順では詞も合わせて考えてみると、「アマリア」の後、あの「風流風鈴初恋譚」の前という絶妙で‘ここしかない’というポジションに収まっているように感じます。ジャンルを超えた幅広い音楽性は美奈子さんと通じるところですが、お二人はあまり縁のなかったことが意外でもあるし、私個人は残念としか言えません。もう少し機会があれば、同時期に発表された「夜桜お七」のような、歌の世界に新機軸を打ち出せるような成果があったのでは、と今さらながらつい思ったりします。(四季の「昭和三部作ミュージカル」のうち李香蘭と異国の丘では、岩谷さんともお仕事されていましたね。)
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